襖を閉めると同時に今日一番の大きなため息が出た。


政宗が何に悩んでるのか全く分からない。

あたしが知る必要がないのは分かってるけど、あたしの目を見た途端あんなに悲しい顔をされると気になるも当然。


一人にしろって言われた以上、あたしはここにいることはできない。


っ…部屋…どこだっけ…。

先ほどの事もあって、吐き気がするほど気分が悪い。

部屋や場所も完全に覚えられていないし、吐き気はおさまらないしもう最悪…。


ズキズキする頭を擦りながらとりあえず歩き出そうと一歩足を出したが、フラリと倒れかける。

やば…っ――…


――ドサッ…


「大丈夫か」

頭を打つこともなく誰かに抱き止められ、温かい体温が全体を包みこんだ。


もしかして、さっきからずっとここにいてくれたのかな…?

「小十郎…」

目の前には凛々しい顔の小十郎。

「何かあったか」

小十郎はあたしの頭に響かないよう優しく喋りかけてくれるも、あたしは頭痛の痛さでいっぱいいっぱいになる。

「あ…あ゛…あぁ」

痛い…

この感じ……覚えてる。


あたしが観光途中にここに飛ばされる時になった、酷い頭痛と暗くなる視界だ。


もしかしたら…戻れる…?


頭が二つに割れそうになる激しい頭痛と共に真っ暗になってくる視界。

「愛…?あ、愛!」

小十郎の叫び声を最後に、あたしは気を失った。