どうやら、坂下先生は僕に注意するために講堂から出てきたわけでは無さそうだ。


僕が出席者をチェックしたクラス名簿を見て、坂下先生は言った。


「蒼先生、この生徒がいるかどうか校門まで様子を見に行ってください。」


ちなみに、蒼先生というのは僕のこと。




僕は、坂下先生が指した名前を読みあげる。


「余合…梨香(リカ)ですか?」


「読み方は、リコと読みます。」


へぇ…、『香』という字を『コ』って読ませるのか。


さすが坂下先生、国語科の教員なだけあるな。