「そっか……」

肩を落とす誠。そのとき、先生が教室に入って来た。誠は千里に「またな」と言うと、自分の席に着いた。

「あーあ…なんか……もうどうでもええか……」

誠は先生に「トイレに行って来ます」と言うと、返事をもらう前に教室を出た。誠は校舎を真っ直ぐ抜けると、中庭に出た。授業中だと言うこともあって物静かな中庭の少しくすんだ青いベンチに、誠は腰をかけた。ボーッと空を見上げていると、後ろからポンと肩を叩かれた。

「南原君、おはようございます」

そこには友美の姿があった。

「あ、友美ちゃん…」

「どうしたんですか?元気無いですねぇ」

「うん、まぁいろいろあって…。まぁ、悔やんでてもどうにもならんのやけどな…」

「そうですか…」

別の世界で付き合っていたせいか、緊張してうまく友美と話せなかった。

「ってゆうか今授業中やのに、友美ちゃん何でこんなとこにおるん?」

「寝坊しちゃって…今来たとこです」

「そっか」

「…あ、今日、一緒に帰れますか?


「うん、いけるよ。ごめんな、何回も断ってて」

「いえいえ、よかったぁ。じゃあ今日、教室で待ってますね」

「うん、ほな迎えに行くわ」