これ以上、この部屋にいたら自分が何を言うのか分からなかったので、すみませんでしたとだけ言ってから、足早に立ち去った。

リビングに誰もいないところを見ると、先に行ったようだな。

今からみんなで楽しく飯、という気分にはとてもなれなかったので、予定ができたとヒデにメールをして、自分の部屋に帰ることにした。





次の日から、兄さんとは表面上は今まで通りに接していたけど、やはりどこかで壁を感じていた。

このことをきっかけに俺たちの距離が広がっていって、そして俺たちだけじゃなくて...。

なあ、いつから俺たちは本音で話すことができなくなったんだろうな。

初めは小さな亀裂かもしれないが、どこかで止めなければいずれ修復不可能な状態になるなんて分かりきっていたことだったのに。



やり方は間違っていたかもしれないが、兄さんなりにギリギリのところで繋がっている俺たちを守ろうとしていたことが分からなかったのは、俺もまだ...幼かったかもしれない。

兄さんだっていつも正しいやり方を選べるわけではなく、時には間違ってしまう1人の人間だということを、忘れていたんだ。