「ま、誠君、声が大きいよ…怒らないで…でもルールさえ守ったら、世の中全部自分の思い通りになるんだよ?」

「まぁ…そうやけど…」

「ね?これから誠君の思い通りにしたらいいんだよ」

「そうやな…ごめん、怒鳴って。ええこと教えてくれて、ありがとう!」

「うん。何かわからないことがあったら、いつでも聞いてね」

千里は笑顔でそう言うと、誠は自分の席に戻った。

……そうや、なんでも思い通りになるんや!勉強だってやらんでも、日記さえ書けば大学だって簡単に行けるんや!

そう思うと、思わず頬がにやけた。

「何や誠?またニヤニヤして?」

席に座ると、再び麗菜が声をかけてきた。

「え?何もないって!」

「ってゆうかお前、昨日の電話何やねん?用は無いんけ?」

「あ、ごめんごめん、別に大した用は無いねん」

「あっそ。…あ、俺眠たいから、保健室で寝てくるわ。っつうことで一限目の体育サボるから、適当に先生に言うといてや」

「おぅ、ええよ。ってゆうかお前、授業サボり過ぎやで?」

「ええよ、お前と違って大学決まっとるし」

そう言うと、麗菜は誠を背にして手を振り、教室から出て保健室に向かって行った。

……麗菜、俺お前よりエリートの大学行くから!
心の中でそう思うと、嬉しくて再び頬が膨らんだ。