「え、何?気になるやんか」

「この日記帳、本当に凄いの。今晩から日記、書き始めるんでしょ?じゃあ…明日の日記も書いてみて」

「え?」

「明日の日記を、今日書くの。適当でいいから、予想の日記を。書けば、何がどう凄いのかわかるよ」

「え、なんかよくわからんけど…わかった、書いてみる」

「絶対秘密だよ」

千里が笑顔でそう言うと、二人は店を出た。

「じゃあ誠君、また明日学校でね。わからないことがあったら、何でも聞いて。これ、私の電話番号」

と、一枚の紙切れを差し出した。

「おう、今日はありがとう!ほなまた明日!」

誠は紙切れを受け取り千里に手を振ると、いったん学校に戻って自転車に乗った。

「何やろ、千里ちゃんの言葉…気になるなぁ」

なぜか、嫌な予感がした。考え事をしていると、あっという間に家に着いた。

「ただいまぁー」

誠は玄関の扉を開け、自分の部屋に向かった。誠の部屋は、玄関のすぐそばの階段を上がり、廊下を左に曲がるとすぐ左手にある部屋だ。部屋に着くと茶色のドアを開け、カバンを布団の上に放り投げると、イスに座って、早速日記帳を机に広げた。

「さて、書こ!」

誠はペンを手に取った。

「…ん?何やこれ?」

日記帳の1ページ目には、『ルール』と書いてある。




ルール

1、一度書いた日記は消えない。

2、書いたことは絶対に遂行される。

3、毎日、かかさず日記を書くこと。