だけど、喧嘩をしている間だけは、胸の中のモヤモヤを忘れることができた。


少し前、アキラと駅前を歩いていると前から歩いてきた男の肩がすれ違いざまにぶつかって。


「……――チッ。痛ぇな」


舌打ちして相手を睨むと、2人組の男達は『待ってました』とばかりに因縁をつけてきた。


「ぶつかってきたのはテメェのほうだろ?なに睨んでんだよ」


俺のYシャツの襟元をグッと掴んで挑発してくる男。


制服からして隣町の不良高校の生徒のようだ。


その高校の生徒の多くは有名な暴走族のチームに入る。


そのチームの頭に以前一度だけ会ったことがある。


その頭は……――。