ある夜、ママが複雑な表情で私に言い聞かせた。


「海斗くん、海外に行って手術できることになったんだって」

「手術?」

「そう。だから、“がんばってね”って見送ってあげるのよ?」

「それって、病気が治るの?」

「そうよ」


海斗はアメリカに行って、新しい心臓と取りかえる手術をするんだって。

そのウワサはすぐに小児病棟の話題になって、海斗はヒーローみたいだった。

だけど…結局それは叶わなかった。