すぐに余合が、カーテンの隙間から可愛い顔を覗かせた。



小声だったとはいえ、さっきの会話…聞こえてたよな?


余合には、注意されてるところを見られてばかりだ。


少し、バツが悪い。





余合は、ポケットから何かを取り出すと


「坂下先生には内緒ね。」


僕の手のひらにアメを二つ乗せてくれた。




入学式に菓子持参かよ…と思ったが


「ありがとう」


素直に、お礼を言うことにした。


ホントなら、たしなめるべき…なんだろうけど。





「じゃあ、また明日。」


「ごきげんよう。」


余合は笑顔でそう言うと、保健室から出て行った。




余合がくれたアメは、イチゴミルク味。


彼女が好みそうな味だな…。


そう思いながら、包み紙を外し、一つ口に入れる。


甘い…甘い香りが、口いっぱいに広がった。