「単純バカな女」



玄関から戻ってきた聖夜さんは呟くようにそう言うとクスクス笑った。



「雪乃?」



名前を呼ばれて“ビクン”と肩が揺れた。



「よく、頑張ったね」



そう言って、聖夜さんは私の頭を優しく撫でてきた。


多分、レイナさんに付いた嘘のことを言ってるんだろう……。



「そうだ。先にシャワーでも浴びて来たら?」


「えっ?……い、いい、です」



私は首を左右に振った。


男性と、ふたりきり。


そんな中でシャワーなんて浴びること出来ないよ。


ましてや、聖夜さんは彼氏ではなく人を殺めた犯罪者なのに……。