「しかし、直ちゃんはいい子ですな」




親父が、直のお父さんに話しかけた。





「そうですか?本人はそうは思っていないようですけどね。すぐに自分を責めちゃうところもあるし。和人君と同じで、小さい頃から優しすぎて心配でしたよ」






昔から変わってないんだな。



自分よりも他人の気持ちを考えて行動しちゃうところ。



争いごとが嫌いで、いつも間に入って自分が疲れちゃうんだよ。





「優しいふたりが結婚した、ということですな」




親父がそんなことを言うから、俺は恥ずかしくなって、天井を見上げた。





天井からポツリと水滴が落ちてきた。





あ、こんな感じ。





直が俺の前に現れたとき。





前触れもなく突然俺の前に現れた。





俺の心の入ってきた。






静かに、そっと……




俺の心を包み込んでくれたんだ。