今アンの目の前に二つの選択肢がある。


一つはこのスーパーでハムカツサンド以外の何かを買って帰る選択肢。


スーパーなら争う事もなく惣菜パンからお弁当まで選び放題だ。


そしてもう一つの選択肢は、意地でもハムカツサンドを求めて更なる遠くのお店へ足を延ばす選択。


選択肢が二つあるのは分かっている。しかしアンの心は最初から決まっていた。


ハムカツサンドだ!


私はハムカツサンドがどうしても食べたいんだ!


馬鹿な選択だろう。人は愚かだと笑うかも知れない。でも私は自分に正直な自分でありたい。



だから行こう。ハムカツサンドを求めてどこまでも!


アンは笑みを浮かべて胸を張り、再びスクーターにまたがったのだった。