「日暮」


「あいっ」


もう自分の本当の名すら忘れてしまった


売られてきてからすぐに女将が勝手につけた“日暮”という名はとくに気に入っている訳でもなかったが別に嫌でもなかった


大人になってから7日で死んでしまうひぐらしのように自分も大人になったら7日で死ぬんだと思っていた


こんな話麻鞠姐さんにしたら笑われるだろうけどあたしはそんな人生でいいと思う


親に捨てられた時点でたいして未練のないこの世界に未だにとどまっているのは特に死ぬ理由もないからだ


生きることも死ぬことも理由をつけるのがめんどくさかった