けれども、五十鈴さんの期待に水さすわけもいかず、僕は適当な返事をして、制服お披露目のため立っていた足を座らせた。


八畳ほどの居間の真ん中にあるコタツ。そろそろコタツ布団を取ってもいい時期だが、山の中にあるためまだ少し寒さがある。一年を通して涼しい春夏秋冬の家はコタツ布団をしまうことはなかった。

それは単に、伯母さんがしまうのをおざなりにしていたことと、僕も僕で居間で過ごすという日課がないから居間の衣替えまで気にすることはなかった。


藤馬さんが『コタツ布団しまえよな』とかぐうたれていたので初めて、コタツ布団は一年中出すものじゃないんだと思ったぐらいだ。


もっとも僕が勝手にコタツ布団をしまうわけもいかなく、春夏秋冬家の居間にはコタツがあり続けて、いつしか藤馬さんも文句を言わなくなっていた。