「畑違いな分野だがな……。まあ、お前に説明するには僕が知っている簡素なものでいいだろう。

前提として、子は『親に見捨てられたくない心理』を持っている」


「見捨てられたくないねぇ。子供は一人で生きていけねえって、もう分かっているってことか」


「幼少期ならば、『一番信頼置ける人から離れたくない』という気持ちからだ。人は人に愛されたがり、愛したがる。子供にとってその一番の対象になるのが、両親だ。

身近だからな。子供の世界と言うのは極端に狭い。視界に入ってよりは、手に届く範囲のものが子供にとっての“現実”(すべて)だ。

極端に狭いすべてだからこそ、子供は楽にそれらを吸収してしまうわけだが……吸収したあとに何を思うか、という自我が子供にはまだない」


「頭からっぽのバカだから判断できねえってか」