「セリシア……これを、君に……。僕の力を、込めておいたから……」
もし危険な目にあったときは、きっとその力が、君を守るよ。
ペンダントを差し出すディオンの手を、セリシアは強く握り締める。
死なないで、という声は、涙のせいで出なかった。
「……僕のために泣いてくれて、ありがとう」
優しく、ディオンは微笑む。
君が涙を見せるのならば、僕は最後に、笑顔を見せよう。
君は精霊だったとき、最期に微笑んだから。
だから今度は、僕の番。
前は君を守れなかったけれど、今回は守ることが出来て、本当に良かった――。
「ああ、もう……時間かな……」
瞼が、重いや。
「ディオン…ッ」
双子として君に出会えて、僕は幸せだったよ。
「……おやすみ、セリシア」
幸せそうに微笑んで、ディオンは目を閉じる。
いつかまた目覚めることが出来たなら、そのときも、また君と出会えますように――。