「レクスと国王が双子を捕まえてしまえば、この世界は崩壊する。だから、俺が双子を見つけ出し、彼らの中で眠っている人工精霊を消す」
「へえ、意外だな。国王は殺せないと言ったくせに、双子は殺せるというのか」
「……殺したくはない。だから、どうにかして人工精霊だけが消える方法を見つけてみる」
つまらなさそうに、ふーん、とディオンは呟いた。
「ああ、けれど、妖精の方が双子について詳しいかもしれないな。……よし、お前について行くよ」
「そうか。だったらせめて着替えだけでも済ませてきなよ。さすがに軍服だと目立ちすぎるからな。僕は、此処にいる」
「ああ、分かった」
フェイは来た道を戻って行く。
ディオンは腰を下ろし、太い幹に背を預けた。
( あの人間、簡単に双子を殺せるとでも思っているのかしら )
綺麗なメロディーを奏でるのをやめ、グウレイグが傍へと寄って来る。
「さあね。……双子を捜し、人工精霊だけを消す、か」
刹那――ディオンを取り巻く雰囲気が変わった。
「口で言うだけなら、簡単なことだな」
その冷たい瞳に、びくりと彼女は肩を震わせる。
「どうせそんなことなど、出来やしないさ」
そう言って、ディオンはゆっくりと目を閉じた――。