「雨が止むまで、此処で休もう」

女の子の体がこれ以上冷えないように、抱き寄せる。

「……アイツらなんて――人間なんて、全員消えてしまえばいいんだ」

掠れた声が、耳に入った。

「…そうだね。人間が消えてしまえば、僕らが苦しむことは、もうないのにね」

そして僕らは、幸せになれるのに、と男の子は続けた。

 君から笑顔を奪ったアイツらが、許せない。

「いっそのこと、僕らが全ての人間を消してあげようか」

男の子が言った。

「僕らが?」

うん、と答える。強く、女の子を抱き締めた。

「この世界から、人間を消す。僕らが生まれたのは、きっとその使命があるからだよ」

「そっか。だから僕たちは、精霊使いとして……そして、人工精霊を受け入れて、生まれてきたんだね」

「うん。十年の時間(トキ)が流れるのを、ひたすら待とう。……この世界に存在する、全ての妖精や人間が敵であろうと、僕だけは、君の味方だから――」

「…約束だよ?」

か細い声で、女の子が言う。