ケータイ小説 野いちご

オトナの純情-最後の恋-


このダイニングバーで彼女を見かけるようになったのは一年半まえだ。

一見すれば美人聡明。

よく見ていると、幼さ――
いや、無邪気さが見え隠れする。

そうだ。
おれは、見かけるというよりはよく見ているに違いない。


彼女はいつも男連れだ。

男は彼女をもてはやしぎみなのに比べ、彼女はどこかうわの空で、男を見ているようで見ていない。

ただ一人、彼女が“見ている”男がいる。

そして、“見ている男”と“見ていない男”が鉢合わせする。

見ていない男が去り、見ている男もまたそのあと去る。

残った彼女はゆっくりとワインを口にしながらそこに留まって、泣きそうな顔で独り笑みを浮かべている。


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