「っはぁ……はぁ、はぁ」



しばらく走り続けて、人のいない体育館裏で足を止めた。



「……あれ?」



気づけば、頬に冷たいものが伝っていた。



汗かな、と思い、手でぬぐうけど……それはとめどなく、あたしの目からあふれてきた。



汗じゃなくて、涙だ……。



どうして泣いているのか、自分でも分からない。



でも、涙はあふれるばかりで……。



なんであたし、泣いてるんだろう。



泣く理由なんて、どこにもないのに。



「グスッ……」


とりあえず涙を止めようと、もう一度手で目もとをぬぐった。



そのとき……。



ガシッ!



うしろから突然、強い力で腕をつかまれた。