教室にかすかに聞き覚えのある低い声が響いた。
まさかと思うけど……滝川くん
後方にあるもうひとつのドアへおそるおそる目をやる。
う、そ……。
そこにはドアに寄りかかって教室の中を眺める、滝川くんの姿があった。
な、なんで滝川くんが来てるの!?
ていうか、あたしの名前言ったよね!?
昨日、「来なかったら」って言ったじゃん!!
「ねえ乃愛、なんか滝川くんがいるけど……」
いつの間にかとなりに来ていた明菜が、そう言いながら滝川くんを指さす。
同時に、クラスの女子たちが滝川くんの登場に騒ぎ出した。
「うそっ!どうして滝川くんが!?」
「俊くんかっこいい~~!」