多少苛ついた様に「なんだ」と言う少女に、如月は深呼吸してからゆっくりと口を開いた。



「…思考を読めるのか…?」



「何を今更…。だからこうやってここに来ているのだろう?」



「ホントに?」



「本当だ。」



「ホントにホント?」



疑いの眼差しを向ける如月に溜め息つくと、少女は彼を無視して長い廊下を歩き出した。



「ま、待て!」と慌てて追いかけてくる如月に振り返りもせず彼女はこう言った。



「私が面白いか?…それとも気持ち悪いか?」



「いや、別にそんなんじゃ…」



「気を使わなくていい。慣れている。……?」




資料室のドアに手を掛けて開けようとした彼女は、回らないドアノブに首を傾げた。



「あぁ、今鍵を開けるよ。」



如月は手にしていた鍵で資料室の施錠を外すと「どうぞ」と彼女を促した。