更に二年後。



部屋は殺風景で
散り一つないくらいだ。
机の上には灰皿と電話以外
何も置かれていない。



オーナーである夜月は椅子に
もたれ掛かり
大胆にも机に足を乗せながら
煙草を吸っていた。



そんな時、内線電話が鳴った。
くわえ煙草のまま受話器を取り
返事をする。



「何だ、どうした?」



「今こちらに奥様が見えてます」



電話の相手は
店の受付にいるスタッフ。



「分かった。通せ」



夜月は答えて受話器を置く。
それから少しして
部屋のドアにノックの音がした。



「はい」



「あたし、朱里です」



「入れ」



ドアが開いて朱里が入って来た。