その時の時季は確か冬だった。
この地方では雪は滅多に降らないのだがチラチラと降り始め、それが近所でもちょっとした話題になっていたからだ。


「…雪だ。」
小学生の小さな手をかざせながら一人呟いた。


家の近くをまだよく知らなかった俺は親の目をぬすんで外へ出た。
よくわからない道を行ったり来たりし、それを繰り返した。


そこにある小道を見つけ、せまい路地を抜けてそこを通った。


進むとキャッキャッという声が聞こえ静かに響いている。
「…声?」