それは5年前のクリスマスに貰った、彼からのプレゼントだった。

箱から取り出して薬指にはめてみると、それは見事なまでにピッタリで。あの頃と変わらないその指輪が空しかった。


「ははっ、ピッタリ」

さっきまで座っていたソファに座り直すと、窓から指す光が指輪を照らした。

それは憎たらしいほどにキラキラ光っていて、それを見てると、なんだか涙が出た。


「迎えに来るって………言ったのになー…」


あの日彼は

"絶対迎えに行くから、そのときまで左手の薬指、開けとけよ"

そう言ったのに。


あたしは今でも待ってるのに。

彼はあたしの前に現れない。


「バーカ…」

そう呟いて、目を閉じると、急激に睡魔が襲ってきて、意識を手放した。