仁王立ちで固まった熊を頭から真っ二つに斬る



二つに別れたクマの身体は横にそれぞれ倒れ・・・溶けた



「一撃・・・」



「先輩、カッコイイ!」



「流石です、神子様!!」



「・・・・・・」



私は褒められるような事をしたんだろうか?



関係ない人を巻き込んで、危ない目にあわせて



迷惑掛けてるだけじゃん



「・・・ねぇ、シルフィ・・・・・・」



私は振り返ることなく、空を見た



"ここにいちゃいけない"



今日の出来事はそれを私に容赦無く突き付けるものだった



「はい、何でしょうか」



「―――出発しようか」



「宜しいのですか?」



「・・・うん。行こう」



「畏まりました」



そういうと、シルフィは結界の外に出て私の隣にまで来る



しかも、なにかぶつぶつ唱えていた



また、魔法?



「神子様、お別れを・・・」



「分かってる」



・・・本当は、夜までこの世界を満喫して行こうと思った



けど、それは危険だったんだ



軽率だったんだ



私がここに長く居れば居るほど、皆を危険に晒すことになるんだ・・・



「お、おい、神田?出発って・・・?」



「先、輩?」



先生達が戸惑っている



ごめんね、説明出来なくて



・・・・・・ごめん



「・・・先生、ベア、ごめん。・・・・・・行ってきます!」



さよならなんて言えなかった



言いたくなかった



1%でも帰って来れる望みがあるなら・・・



"行ってきます"が良い



「・・・では、いきます!―――転送っ!」



ぶつぶつ唱え終わったシルフィが「転送」と言った瞬間、足元に魔法陣っぽいものが現れ、眩しく光る



「神田っ!?」



「先輩っ!!」



「・・・・・・」



私は何も言わなかった



けど、精一杯の笑顔でその場から消えた



―――行ってきます