「うっ嬉しいですよ! ボク、実は先生の隠れファンですし」

それを誤魔化すように、あえて明るく振舞った。

「そうか」

それを信じたのか、タカシナの返答は短いものだった。

「はい。先生は落ち着いているし、授業も分かりやすいし、パソコンの使い方も親切に教えてくれたし…」

気持ちを隠す為に慌てて言葉を続けるも、ふとタカシナが沈黙していることに気づいた。

「…タカシナ先生?」

改めて彼の方を見ると、タカシナはじっとナツキを見つめていた。

沈黙が、流れる。

見つめ合っている二人の距離が、だんだんと近づいていく。

「せっ先生…」

目の前に迫ってくるタカシナの視線から逃れられない。

「ナツキ…」

ナツキはゆっくりと眼を閉じる。

二人の唇は、静かに重なった。