「……しゅ……旬?」



……ポツ

ポツポツ……



雨粒が、あたしの唇を濡らした。


空を見上げると怪しい雲がいつの間にかここまでやってきていた。






ザァァァ




冷たい雨は本格的に降り出してきた。



雨は容赦なくあたし達の髪を濡らし、体に打ち付ける。
服が体に張り付いて気持ちが悪い。



雨とゆう壁で外界から隔離されたあたし達は、まるでこの世のどこにも、他に人がいない感覚に襲われる……




なんて永く……なんて短い瞬間だったんだろう……




絡み合う視線が、あたしには苦しい…


その瞬間、あたしの手をとり雨の中走り出した。

あたしは旬の背中を見つめた……




旬と想いが通じたら……。
旬の彼女になりたいって。

いつもいつも想像してたのに。

なんでかな……?



この手を、あたしは握り返す事ができないなんて。


あたし最悪だね。