「雪乃は面白いね」



聖夜さんは、そう言ってクスクスと笑い続けてる。


そんなに笑わなくても……。


聖夜さんに聞いたことを少し後悔していた。


でも、やっぱりモヤモヤした感じは拭いきれなくて……。



「あっ、そうだ。ねぇ、雪乃?」


「あ、はい」



さっきまでクスクスと笑っていた聖夜さんはに名前を呼ばれた。



「僕の名前に“さん”はいらないから……」


「えっ?」


「呼び捨てでいいよ。僕だって初対面のキミのことを呼び捨てで呼んでるんだし。ね?」



そうだけど……。



「それに、僕は犯罪者だよ?犯罪者を“さん”付けで呼ぶのはおかしいでしょ?」



彼の言ってることは正しいのかもしれない。



「だけど……」



今まで彼氏なんていたことないし、同級生以外で男性の知り合いもいない私には男性を呼び捨てで呼んだことなくて……。


同級生の男子は、アダ名か呼び捨てで呼ぶのは名字で……。



「まぁ、雪乃の好きにしたらいいけどね」



彼はそう言って、再び窓の外に目をやった。