決めるなら、今日。


だって、明日は終業式だもん。

2学期が、明日で終わっちゃう。


みんなに会えるのも、明日が最後かもしれない。


「あたしさ、達哉は絶対に引き留めてくれると思ってたの。だから、余計に迷っちゃって…」


どうしてほしい?なんて、答えが何となく分かっていたから言ったようなもの。ズルい質問だよね。


でも、答えが予想と違ったから…


「あの達哉がなー……」


そう、あの達哉が、なんだよ。


「まぁ、達哉も広田もまだ高校生だしさ。引き留めたところで、どうすればいいかなんて、分かんねぇだろ。……って、達哉も思ってんじゃねぇの?」


高校生、か……


確かに、あたしは独り暮らしする自信なんてない。現実は、そう甘くない。

達哉はそれを考えて、あんなこと言ったのかな。


「俺らみたいな高校生は、大人から見たらまだまだガキなんだよ」


向井君はそう言うと、窓のわくに肘をついて外を眺めた。

何だろう、悲しそうだな…


「そう、だよね……」

同じように外を眺めてみると、それはもう、憎たらしいほどに真っ青な空が、そこにはあった。


「大丈夫だって、広田と達哉なら。離れたって変わんないよ。俺が保証する!」