「おはよー」



それは、いつもの朝の風景。
穏やかな空気。

6月の初旬だけあって、肌寒さはもうない。

吹き抜ける風の中に、少しだけ雨の匂いを感じた。







「未央っ!おっはよー」


あたしの肩を元気に叩いたのは、早苗だ。

あたしの親友。



「……おはよ」



あたしは早苗を見てまた溜め息をついた。


「なになに?どぉした~っ ブサイクだぞぉ」


早苗はあたしの顔を覗き込むと、ケタケタ笑った。

早苗は、身長160はあって、とっても綺麗な顔をしている。
でも、その容姿とは正反対で、男勝りでサバザバした性格で女の子にもすっごく人気なの。

艶のある黒い髪は、肩をまであっていつも オシャレに フワッとセットしてあって。
白い肌はその黒髪でとても引き立つ。

スタイルの良い体つきをしていて男子からも人気があるんだ。


でも早苗は それを鼻にかけている訳でもない。


むしろね……


「未央っ あんたってほんとかわいいっ!食べちゃいたいっっ」



なんて感じで、なにかとあたしに巻きついてきちゃうんだ。



うーん……。
でも、身長差はあるけどあたしってそんなにかわいいのかな?


……言われた事ない。


なんて、早苗をチラリと見て、あたしはさらに凹んだ。