「……舞子も一緒に引っ越すわけ?」


達哉はどうしてほしい?

あたしに、何て答えてほしい?


「まだ、決めてない」


落とした目線の先にある達哉の手が、ギュッとなった。力が入ってるのが、あたしの目から見てもすぐに分かる。


「達哉は、さ……あたしに、どうしてほしい…?」


あたしは何を期待してるんだろう。


「行くな」って、引き留めてくれること?

それとも、笑って送り出してくれること?


「舞子が行きたいって言うなら、俺に引き留める権利はないし……でも、別れる気はない。」


あたしの目を見て、ハッキリとそう言った。


権利って何?

別れる気がないのはあたしも一緒だよ。だからこそ、離れたくない、って思うんじゃないの?


無理矢理にでも引き留めてよ。

あたし、遠くに行っちゃうんだよ?


やっぱり、最後はあたしが決めなくちゃならないの?


「そっか……、分かった…」