「そうだね。俺もちゃんと里穂に言いたい。」

「まぁ、口に合うかは分からないけど。」

「里穂が一生懸命作ってくれたってことだけで、俺はじゅーぶん美味しく食べれるけどなぁ。」

「じゃあ不味くても全部食べきってよね?」

「当然。そんなの全然余裕だよ!」


バーンと胸を叩いてそう宣言する。
少し離れた距離を埋めるかのように、自然と手は繋がれる。


「帰ろうか。…明日のために。」

「…そうね。」


重なる手が私を明日に導く。


すきだから〝また明日〟あなたに会いたい。
あなたに美味しいと言ってほしい。
あなたの笑顔を、一番近くで見ていたい。


ゆっくりだけど確実にそんな想いは募っていって、その想いを受け止めてくれる温かい人が今この手を握ってくれている。


不意に零れた笑みに、ちょっと首を傾げる隣の男。


「ん?どした?…なんか可愛いんだけど。」

「ちょっと、温かい気持ちだなって思っただけよ。」

「それは…俺といるから?」

「…そうね、あなたと一緒だから。」


*fin*