一方、ボスと有奈は、陽一の容姿を見て目を見開く。

あり得ないはずだと、有奈は目を擦る。ボスは、時間が止まったかのように固まり、陽一をただ見つめる。

『貴方も自己紹介して』

メリーに声をかけられ、ボーとしていた陽一は驚き、「あぁ…」と声を零す。

「えーと、俺の名前は織原 陽一だ」

陽一が自己紹介をした途端、隣に居るメリーは驚いて目を見開く。ボスは、密かに眉根がピクっと下がり、険しい表情になる。傍らにいる有奈も、動揺して瞳が揺らぐ。

しかし、彼らの様子に気付かない陽一は、自己紹介は小学校ぶりだな……と、呑気に考える。陽一は、呑気に考えている思考を切り替え、本題に移す。

「で、俺の対策はどうするんだ?」
『対策?』

ボスは、陽一の言葉に疑問を感じて首を傾げる。訳が分からず、メリーに視線を送る。

メリーはボスと目が合った途端、パっと視線を逸らし気まずそうに俯く。

『…あぁ。確かに。“対策をしないとな”』

ボスはメリーから何かを察し、何事もなかったかの様に話を進める。

有奈は驚いて、ボスに視線を送る。有奈の視線に気がついたボスは、アイコンタクトをする。゛俺に任せろ゛と。有奈は、理解し小さく頷く。

『対策はひとつ。お前の力を封印して、G.S.Sに関わった及び悪霊と戦った記憶を消す』
「はぁ?!なんでだよ?!」

陽一は驚きを隠せず、ボスの机に近づき不満をぶつけるように両手を机につける。

『危険だからだ』

ボスは、陽一の態度を見ても、冷静な態度で冷ややかな声で言う。

『お前の力は強すぎる。強ければ強いほど、悪霊を寄せ付ける。それは、自殺行為だ』

ボスに鋭い目を向けられ、陽一は一瞬ひるむ。