バタン―…


神前は院長室から足早に出て行ってしまった。



驚いた。

イロイロな事に。



(泣いてた…よな…?
俺、泣かせるようなこと言ったか!?)



頬を赤く染め、瞳を涙で濡らして不安いっぱいな顔で出て行った。



「嘘…だろ…」




あんな顔をされたことに驚いた。


でも、そんな事より…




その表情が…

今にも崩れてしまいそうなその表情が…



愛おしく感じてしまった自分自身に驚いた。




多分あんな顔をさせたのは自分なんだろう。



それでも、守ってやりたい気になった。


とてつもなく抱きしめたくなったんだ…



ただ比護欲が刺激されたんじゃない。


大切にしたい。
あの一瞬で思ったんだ。








これは…


恋…?