ぼくとは正反対の彼女。


その正反対の性格ゆえ、ぼくは彼女に惹かれているのかもしれない。



できることなら、こうして、このまま、

『ぼく』という檻の中に彼女を仕舞いこんでいたい。


彼女のあらゆる部分にぼくという証をつけてしまいたい。



しかし、それは所詮かなわぬこと。

そんなことをすれば尚吾(しょうご)は、ぼくにとって彼女がかけがえのない存在だと知り、傷つけるだろう。


……かつて付き合っていた彼女のように……。





まったく……紀美子は余計なことをしてくれた。




彼女を懲(こ)らしめることさえ……。


……ここに呼び出すことさえしなければ、

ぼくは彼女にこんな強い想いを抱かずにすんだかもしれない。







――いや。






こうなることは目に見えていた。



手鞠ちゃんに告白されたあの日から、もうすでに魅了されていた。



遅かれ早かれ、この感情に辿りつくのは結果として見えていたことだった。


体を強張らせ、ぼくに手紙を渡してきた女の子は、元々気が強い女の子のようだ。

それは、彼女の起こす行動でわかっていた。

わかってはいたが……まさか、紀美子の暴力に対抗するとは思わなかった。

ぼくが好みとするタイプとは全く違った女の子。


香織(かおり)とも、香織を吹っ切ろうとして付き合ったあの娘とも違う性格の女の子。