別の教室。

「なっ…!」

同じように窓の外を見ていたアリスカが、声を上げて立ち上がる。

「ど…どうしたんですか?アリスカさん…」

彼女を見上げる眼鏡男子。

「アリスカさん…?」

生徒会長も同じく視線だけをアリスカに向ける。

と。

「……」

生徒会長の嗅覚を刺激する臭いがあった。

微量の血の臭い。

彼女は盲目な分、鼻が利く。

出血が止まった傷口の臭いが、遠くから漂ってきたのに気づいたのだ。

ちょうど校門を潜ったばかりの、龍太郎の方から…。