そこでオレは久遠が何を考えているのか気がついたんだ。


久遠……お前、まさか……。







尚吾に何かされる前に紀美子の手によって手鞠ちゃんが久遠から離れていってくれるのを狙ってんのか?



尚吾にやられるより、紀美子の方がまだ優しいから……?


前、お前と付き合ってた女の子が尚吾に何をされたのかは知らない。

だけどさ、これは、あんまりだ。



手鞠ちゃんの意見はどうなるんだよ?


そして何より、お前の意思はどうなるんだよ?

ここまで必死こいて探したのは、他でもねぇ、久遠。

お前自身だろうがよ!?



「ふざけ……!!」


オレは久遠の襟元を掴んだ。

拳を久遠目がけて撃とうとした時だ。


「でも、あたしは先輩が好きだから!!」


『!!』



突然、背後から意思の強い声がした。




オレはもちろん。

久遠も息を飲んでいた。