先日の城山 小夜(しろやま さよ)との決闘の際に折られた腕だ。

驚異的な回復力でギプスは既に外したものの、完治した訳ではない。

骨も繋がりかけているだけ。

何かあればまた折れてしまうだろう。

しかし、この愚かな男はもうじっとしていられなかった。

「何せもう何日も太極拳しかやってねぇからな。そろそろ正拳突きの一つもやっとかねぇと…体動かさねぇのは気持ち悪くてしょうがねぇ」

そう言って、足は肩幅、両拳は腰に添え。

「せいっ!」

右の拳を抉り込むように突き出す!

「せいっ!」

同じように左の拳を抉り込むように突き出す。

空を切り裂くような正拳突き。

稽古は、寒さを吹き飛ばすような掛け声と共に続く。