気がついたら、保健室のベッドの中だった。


枕元に誰かいるようなので、首を少し傾けた。




少しウェーブのかかった髪に、端正な顔立ち。


入学式の前に、一緒に桜を見ていた人だ。


確か…蒼先生、だったかな?




「大丈夫か?」


「…はい。

…あの、先生がここまで運んでくださったのですか?」


そうだとしたら、お礼を言わなくては…。




「いや、坂下先生だよ。

僕はさっきまで、ここの場所を知らなかったくらいだからね。」


「そう…ですか…。」


私、落胆してる?


でも…どうして?





「あの…さ、式の前にあんなこと言って、ごめんな。」


「私、気にしていません。」


私は、微笑を作りながら言った。


蒼先生が、気にするといけないから…。