傘を差すほど降ってないし、折り畳み傘も持ってないから、そのまま駅前の方向に走る。 ローファーなんか履いてくるんじゃなかった。走りにくい。 朝の自分を恨みながら、ブレザーの胸ポケットに入れたメモを取り出す。 それに書いてある住所と地図を見ながら目的地に向かう。 今回の人たちは親切だといいけど。 まあ今回も門前払いだろうな、と自嘲気味に思いながら強くなってきた雨から逃れるように足を速めた。