**side風珱**


────翌日────



「んん………朝ですか…」



目を覚ますと、見慣れない天井


「よかった……」



私が逃げて来れたことが夢ではなくて


「何が良かったんですか?」


ビクッ



後ろを振り向くと、もう寝巻きを着替えて、きっちり髪を結い、面白そうに微笑む沖田さんがいた





「えっと……えぇ……あの」



焦る私をみて、沖田さんはくすくす笑った



「君、やっぱり面白いね」



「なっ!!お、面白い?」



私をつまらないとか、無愛想とか言う人はよくいるけど、面白いねとは言われたことはなかった




でも……



嬉しいのかどうか分からない



なんか、複雑な気持ちになった


「ほらほら、そんなに拗ねないで?」



沖田さんは、そんな事を言いながら私の頭をポンポン撫でた



「別に拗ねてなんか……」



すると、沖田さんは少し呆れたように笑った



「はいはい……朝ご飯の時間ですよ、広間に行きましょうか」


と言って立ち上がった





私も、切り替えて太刀と風呂敷を持って立ち上がった


「別に拗ねてなんか……」



わたしの呟きは、誰の耳にも届くことなく、沖田さんの部屋に消えていった