「ふーん、大事なマスコットを拾ってもらい」
「うん」
「そのお礼をしたいと言ったら、『明日このバスな』と」
「うん、うん」

そう言うと、紫穂ちゃんはいきなり黙って、何かを考え出した。

あたしはジューっと、いちごオレを飲む。

あたしも黙って待っていると。紫穂ちゃんは…

「雫に気があるんじゃない?」
「んぐっ」

何を言い出すんだ、紫穂ちゃん。

「だって、いきなりお礼。なんて言われたら、普通「は?」ってなるでしょ」
「そ、そうかなぁ」
「それか、女好きか?」
「な、なんで?」
「女好きで、女子と関わるためにオッケーしたとか」
「あの人、全然そうなかんじしないよ?」

彼は、なんかこう、女興味なしって感じだった気がする。

「……あぁ!!」
「なに」
「あたし…バスの中でおっきい声だしちゃった」
「はぁ?」

そうだ、今思うと周りに絶対聞こえるような声で話してた。

でも、彼は小さい声だった…。
「ぅあ~、恥ずかしい…」

ゴンッと頭を机につける。
けっこう、痛い…。

「そんなん、誰も気にしないわよ」
「そーかなー」

1人で、ウジウジしてると

「ねぇ、雫?」
「なぁに?」

ん?と顔をあげると