あなたがほしかったの。


 あなたが妹のようにしか思ってなかったあの娘、気付いてなかったでしょうけど、あの娘もあなたが好きだったから、あの娘よりも早くあなたを手に入れたくて焦った。

 あなたのそばをひらひら舞って、ちょっと肩に止まって。

 どろどろ汚い内面なんかなかったことにして清らかに笑うの。

 あなたが好きな髪型、あなたが好きなメイク。かわいらしい喋り方。

 媚を売ってる、とか、言われても全然かまわなかった。だってそれを言う彼らはあなたじゃないのだもの。


 あなたが初めてあたしを抱きしめてくれたときに、あたしはとてもとても幸せだったのよ!

 それだけでよかったの。

 あたしは恋をするために生きていたのだし息をするようにあなたを求めたのだから。

 あなたも、そうだと信じていたのに。