あれから、少し担がれたあと、私はさっきの家と隣接するようにたっている家につれていかれた



私は、抵抗をしても無駄だと思い、おとなしく担がれている



このいえの表札に、『前川』と書いてあった


おかしい



この男は、『芹沢』と言うのに、なぜ『前川』と書いてある家へいくのか


しかも、この堂々たる入りかたは、どこからどう見ても、我が家に帰ってきた用にしか見えない


芹沢は、私を担いでズンズン進み、一つの部屋に入った



「……ふぅ」


私もやっと下ろして貰った

そこは、八畳くらいの狭い部屋に、へやの3分の1をうめるくらいの家具がおいてあった


すると、芹沢は私の前にドカッと座った


そして、ニカッと笑った


「まずは自己紹介からじゃ……儂は、壬生浪士組の局長の芹沢鴨じゃ」


私は、今まで疑問に思っていた事をきいた


「壬生浪士組とはどういう物なのですか?」


すると、芹沢は嫌がるでもなく答えてくれた


「壬生浪士組とは、京の治安をまもっておる会津藩お預かりの団体じゃ……ここ、前川邸と隣の八木邸を借り、屯所として活動しておる」


「そうなんですか」


「儂は、お主を逃げ切らせると約束した……だから、絶対に逃げ切らせてやる………信じておれ………その為には、お主も儂に包み隠さず自分の事を話して貰わんとならん……」



いつもの私なら、[そんなの信じられない]といって断っていただろう



でも、今の私には行く宛もなければ頼る人もいない


それに、この芹沢という男を見ていると、信じられる気がしてくる


なぜか、本当に逃げ切らせてくれるんじゃないかとおもってしまう




私は、芹沢を信じる


それは、決意にもにた感情だった