『これをつけて。これは、G.S.Sに入る為の認証パスの役目もあるの』


メリーは、黄金色に輝く実体化ブレスレットを陽一に渡す。陽一はメリーに言われたとおりに、ブレスレットを手首にはめる。


『楠に近づくわよ』


陽一たちが楠に近づいた途端、ブレスレットと楠が共鳴しているかの様に、互いに光り輝く。それと同時に、幹に穴が空き真っ黒い円形が現れる。


その円形を覗き込むと、階段があり、トンネルのように奥深く何処までも続いていた。陽一は、その光景に驚愕し目を見開く。


『このトンネルは、直接G.S.Sに繋がっているの。さぁ、行きましょ』


メリーは躊躇う様子もなく、トンネルの中へと入る。陽一は、今まで体験したことない出来事に体が強張り足がすくむ。恐怖を感じ、戸惑っていたのだ。


しかし、こんな所で立ち止まってしまっては、真相を知ることができない。


……おもしれぇ、受け入れてやろうじゃねぇかッ!


陽一は、無理矢理現実を受け入れ、大きく一歩を踏み出し、トンネルの中へ入る。


このトンネルに踏み込んだのと同時に、平凡な日常に戻れないどころか、危険な日常になるとは知らず、陽一は前に進む。


メリー達がトンネルを進み出したのを感知した楠は、穴を塞ぎ元の幹に戻る。それと同時に、翡翠色に光り輝く。まるで、陽一を歓迎しているかのように---。