美奈実が目を覚ますと、隣に横たわっていたはずの梶原は

 いなくなっていた。

 それもそのはず。

 時刻はすでに午前3時。

 美奈実は服も身に付けず、化粧さえ落とさずに眠ってしまっていた。

「最後」

 という言葉を刻み付けるように、梶原が激しく抱いたからだ。

 何度も何度も、若さに身を任せて。

 梶原のいた右隣に手を這わせても、温もりすら残っていない。

 体のだるさとゴミ箱に放られた事の残骸を足跡にして、梶原は美奈実の元を去っていった。