「邪魔なんだけど。早く入ってくんない?」


そんな声にびっくりして振り返ると、


「は、速都っ! 別にそんな言い方しなくてもいいじゃん!」


顔をしかめて、不機嫌そうな速都が立っていた。


「うるさい。いいからどけって」


「なっ! うるさいって… もうっ」


あたしは、入口に立って邪魔だったのは事実で、
言い返すことが出来ず、おとなしく教室に入る。


あたしはそのまま悠李の席まで行き、


「速都ってば、あんな言い方しなくてもいいのにね!」

と、怒るあたしに


「まあまあ」

と、苦笑いの悠李。


「涼音だってあんな言い方せずに、もっと可愛く答えなきゃ!」


「うっ! だって…」



そう、速都こと桜井速都(サクライ ハヤト)
中学から一緒のクラスメイトであって、あたしの……好きな人。