私がそれに見惚れていると、そのバイクに乗ったフルメットの奥から聞き覚えのある声が。
「送ってやるから乗れ。」
と同時になげられたヘルメットをつけ、私は怖々とアラタの後ろに股がる。
するとスッと伸びてきたアラタの手が私の腕を掴みアラタの腰に回した。
「ちゃんと掴まってないと死ぬぞ。」
こればっかりは恥ずかしがっていられない。と、私は素直にアラタの腰に手を回してグッと抱きついた。
死ぬのは嫌だけど、やっぱりドキドキする心臓。
この鼓動はきっとアラタにも届いているが、彼はそれに触れたりしない。
「いくぞ。」
と言う言葉に頷けば、美しいバイクは走り出す。
私は、まだ数回しか会っていない彼に、なんらかの気持ちが生まれはじめている事を感じていた・・。