「夕斗、父さん、おはよ」
「おはよ」
「おはよう、隼人」
朝の朝食パンと、コーヒーと、新聞が似合う奴。
俺の隣に座り、俺に話しかけてくる。
俺の双子の兄貴、神崎隼人。
「めずらしいな夕斗、お前が早起きなんて」
「父さんと同じこと言うなよ」
隼人は別の高校で、進学校に通っている。
双子なのに、顔も似てなければ性格も、頭のよさも似ていない。
要は、隼人は要領がいい秀才男。
俺は運動しか能がない奴。
そして死んだ兄貴、俺たちは三人兄弟だった。
「じゃ、俺はやることあるからもう行くよ」
「ああ、行ってらっしゃい」
「行ってきます」
隼人のやつ、いつもこんな早くに出てるのか。
さすが天才は違うね。
「夕斗、お前もたまには早めに出てみたらどうだ?」
「……ああ、そうするよ」
あの考え事もしたいしな。
俺は玄関先で靴を履き、玄関を開けようとしたときに思った。
あ……父さんならわかるかもしれない。
そしてさっき履いたばかりの靴を脱ぎ、再度リビングに戻った。